本当の着物美人になるための着物の種類の見分け方・選び方 ーその1ー

こちらのコラムでは、これから着物を最高に楽しむための着物の種類の見分け方・選び方についてお伝えして参ります。
 
 

ー目次ー

《 その1 》

《 その2 》

3 略礼装着・準礼装の着物の見分け方
 3.1 色留袖(三つ紋・一つ紋)
 3.2 振袖
 3.3 訪問着
 3.4 一つ紋の入った色無地
 3.5 一つ紋の入った江戸小紋
 3.6 付下げ
4 外出着の着物の見分け方
 4.1 付下げ小紋
 4.2 小紋友禅
 4.3 小紋
 4.4 紬の訪問着
 4.5 無地の紬
 4.6 お召し
 4.7 絞り
 4.8 更紗
5 普段着・カジュアルな着物の見分け方
 5.1 紬
 5.2 絣(かすり)
 5.3 黄八丈
 5.4 ウール
 5.5 銘仙
 5.6 木綿
 5.7 夏用の着物
 5.8 デニム
 5.9 浴衣
6 手放したい時に知っておくとよいこと
7 まとめ
 
  

着物は種類によって格が違う

「格」とは

「着物着てみたいけど、色々種類とかお作法があってなかなか手を出せない。」そんなお声を頂戴することがあります。
振り返れば私も着物デビューした時には、「この着物はどこに着ていっていいのか?」「この着物とこの帯の組み合わせは大丈夫なのか?」などよくわからず、仲良くなった呉服屋さんに手持ちの着物の写真を見せながらあれこれ質問したものです。
 
着物には「格」があり、これは公的な場にふさわしいものほど「格が高い」と表現されます。
着物の種類や素材、模様、柄の置き方など、様々なことを踏まえて格が決まります。
この後、種類ごと「これはお友達の結婚式に着ていって大丈夫。」「これはお友達とのお食事会には合わない」など、どういう格を持っているかご紹介していますので、こちらを参考にお着物を楽しんで頂けたら嬉しいです♪
 
 

「その場にあわせた衣装」を選んではいけません!

 
もう1つ着物を選ぶ時に、考えて欲しいことをお伝えします。
 
それは、
自分が選んだ着物で、お相手やその場の価値を最大化できるか?
 
少し着物に慣れてきた方から、たまに「とりあえず、パーティーは着物を着ていけば乗り切れる。」ということを聞くことがあります。
確かに、パーティーに着物を着ていくと、主催者の方にはとても喜ばれます。「着物で場を華やかにしてくれてありがとうございます。」と。
だから、私も、主催者が私をお誘いして下さったということは、そういうことかなと思う場面では着物を着ていくようにしています。
 
でも、この2つの考え方は大きく違うのわかりますか?
ドレスを選ぶのが大変で「着物を着ておけば大丈夫!」という思考停止で着物を着ている人と、手前味噌になってしまいましたが、パーティーの場の価値や、主催者や他の参加者の方の価値を最大化しようと着物を着ている人。
佇まいや雰囲気は絶対違いますよね?
そもそも、「着物を着ておけば大丈夫!」って着物にとっても失礼です。
 
着物に限らずですが、私はファッションは、お相手のため、その場のために装うものだと思っています。
「その場にあわせた衣装」は最低限です。そこから一歩進んで、「素敵な装いをした人がいるパーティー」を演出できる役割を担う衣装を着ていけたら、そんな嬉しいことはないですよね。
皆様も、初めて行ったレストランで、他のお客様がみんな素敵な装いをしていたら、「このレストランって素敵な人が集まるレストランなんだな。」とレストランが魅力的に見えた経験はあるのではないでしょうか?
ファッションは、決して、自分の魅力を引き出すためでも、自分が楽でいるためでもないです。
 
本来日本人はこれが当たり前だったはずなのですよね^^
着物は少し季節を先取りした草花が描かれたものを選ぶのが粋という考えがあります。それはお会いする方季節感を楽しんで頂くため。
また、お茶会の場では、一番格が高い正客や亭主より格上の着物にならないように配慮するといったルールがあります。
夏の絽の着物(透け感があるもの)も、その場を涼やかにするという想いで着られています。
 
などなど、どうしたらお相手やその場の価値を最大化できるか考えて、それを愉しむ。
 
 
現代では、着物をもっと気軽に着てもらいたいという趣旨のもと、厳しくは格にこだわらなくなってきているという側面もあります。
私も多くの方に着物を着て頂きたいので、ガチガチのルールは必要ないと思っていますが、絶対に自分本位な着物の着方をしてはいけないと思っています。
ぜひ、ご一緒する方やその場、そして着物に愛情を持って着物を選ぶことを忘れないでくださいね!
 
 

正装・フォーマルな礼装の着物の見分け方 

打掛

 
打掛とは、結婚式で花嫁が着る白無垢(上の写真)や色打掛のことです。 挙式・披露宴どちらも着用出来ます。
和装の結婚式に出たことがある方は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。挙式・披露宴どちらも着用出来る着物です。 
豪華で美しいですよね〜^^

ちなみに、結婚式の時に着る打掛の色は、白か黒か赤が主流となっています。
この色なのは意味がそれぞれあります。
 
ー 白 ー
ウエディングドレスでもスタンダードなは、「あなたの色に染まります。」とは、よく言われる話ですが、白は心を浄化してくれる色です。
心をキレイにして、新たな夫婦生活のスタートを歩むのに最適なのです。
また、白は「産着」や「死装束」で使われる色=この世のものではないことを示す色でもあり、「生まれた家の娘」として一度死に、「嫁ぎ先の家」で新たに生を受けることを暗示しているとも言われています。
更に、昔から神様が白い生き物の姿に変身して登場する物語が数多く存在するように、白は神聖な色とされてきました。
ちなみに、日本では平安時代から、花嫁衣装に純白が選ばれるようになりました。
 
ー 黒 ー
は、冠婚葬祭で身につけることの多い着物の色です。
黒留袖や打掛に黒が使われるのは、刺繍や金銀箔が映えるようにという意図があるそうです。 
諸説ありますが、白無垢が「あなたの色にそまります。」という意味を含んでいるのに対し、黒振袖は、「あなた以外の人にはそまりません。」という意味が含まれているという説がありますが、黒はあらゆるものを拒絶する色でもあります。
個人的には、 「あなたの色にそまります。」より、 「あなた以外の人にはそまりません。」の方が覚悟を感じて、黒の打掛に惹かれます^^
 
ー 赤 ー
赤は、昔から「魔除け」の意味があり、悪を払い、善きものを呼び込む力があるとされています。 
平安時代には日常から離れた聖域の建物や祭器に使われていたことから、一般の人々が赤の着物を着ることを禁止されていたため、憧れが強い色でもありました。
また、赤は顔色をよく見せてくれ、天気や会場の照明に負けず、どこにいても美しく見せてくれる効果もあります。
 
 
ちなみに、打掛の歴史は、室町時代。
裕福な武家の女性が内着である小袖の上に打掛を羽織ったのが始まりです。小袖の上に打ち掛けて着たことから「打掛」と呼ばれたとのこと。
婚礼用という役割が出てきたのは、江戸時代後期。上方や江戸等の裕福な町人女性が婚礼用として着用するようになったそうです。
 
 

黒留袖

 
既婚女性の第一礼装なのが、この黒留袖です。(上の写真の右側の女性の着物)
結婚式の際に、新郎新婦のお母様や親族の女性が着用している姿を見たことがあるのでは?
現代の黒留袖は、柄が縫い目で途切れてしまわず、一枚の絵のように繋がっている絵羽模様(えばもよう)が裾のみに描かれています。
そして、五つ紋(背中、両袖、両胸)が入っています。
  
この黒留袖の歴史は面白いです^^
江戸時代には振袖の長い袖を結婚後に短くして、身八口を縫い留める習慣があり、このような着物は全て「留袖」と呼んでいたそうです。
だから、もともとは地色は様々だったのが、明治時代に西洋のブラックフォーマルの概念が取り入れられ、黒地になったと言われています。
私は、こういう全てを包み込む着物文化が大好きです!
もともとあった着物文化の中に、西洋(外)から来た文化をすっと取り入れる。
こうやって、時代に合わせて変わってきた着物だからこそ、現代も変えるべきところは変えて楽しめばいいんですよね!
 
 

本振袖

 
黒留袖が 既婚女性の第一礼装なのに対して、本振袖は、未婚女性の第一礼装になります。
特徴は何と言っても、くるぶしくらいまで伸びた長い袖ですね!
そして、黒留袖とは大きく異なるのが、裾だけでなく着物全体に絵羽模様が描かれています。
女性の皆様は、成人式や、結婚式に着用したことがある方も多いのでは?
 
またこの振袖の歴史も面白く、元になったのは、振八つ口のあいた子供用の小袖でした。そして、振袖は男女共着用しており、江戸時代、男子は17歳の春、女子は結婚の有無に関わらず19歳の秋に、袖を短くするとともに脇を塞いだと言われています。
 
振袖と行ったら女性!!!
という印象ですが、昔は男女ともに着る衣装だったんですね^^
 
現在振袖と呼ばれている和服が出てきたのは、江戸時代です。
江戸時代前期に、若い女性が着る正装の和服の袖丈が徐々に長くなり、元禄時代(1688年-1703年)には袖丈は55cmから95cmくらいだったのが、江戸末期(1867年まで)には袖丈は95cmから122cmくらいになったと言われています。
なんだか、80年代の制服のロングスカートブームみたいな流れですね!
60年代までは膝丈で、70年代はミニスカート、そして90年代はまたコギャルブームでミニスカートみたいな感じでしょうか。
 
袖丈が長くなった理由については諸説あり、一説には世の中が安定期に入るにつれ文化に対する民衆の関心が高まり、娘に舞踊を習わせる習慣が生まれたが、その際に身振りを美しく見せるために袖を長くしていったと言われています。
 
いつの時代も女性は、時代の流れにそってオシャレを楽しんだということでしょうか♪
いつでも美しくいたいですもんね!
 
 
最後に、来年再来年成人式で振袖はレンタルを考えているという方にオススメのレンタル着物屋さんをご紹介しておきます♪
この新型コロナの状況で、来年は成人式あるのかな?と少し不安になっている方もいるかもしれませんが、「京都着物レンタル夢館 」では、コロナによるレンタルキャンセル料無料対応を行っています。
こうして、おめでたい日を迎えるための準備に少しでも不安材料を減らしてくれるのは嬉しいですよね!
 
現代は着物を着る機会が減っていますが、成人式は貴重な着物を着る機会です。
ぜひ自分のお気に入りの1枚を見つけて、着物を楽しんで下さいね。
 
 

五つ紋の入った色留袖

 
 
2つ前でご紹介したのが、黒の生地を使った黒留袖でしたが、こちら黒以外の生地で作られた留袖、色留袖です。
黒留袖同様、裾のみに絵羽模様(えばもよう)が描かれています。
 
黒留袖と色留袖の色以外の違いとしては、1つが地模様の有無。
黒留袖は 濱縮緬(はまちりめん)や丹後縮緬(たんごちりめん)などの地模様のない縮緬を使っているのに対して、色留袖は、 生地に地模様のない縮緬だけではなく、地模様が織り出された紋意匠縮緬や綸子や緞子、朱子地が用いられる場合もあります。
 
2つ目の違いとしては、黒留袖が五つ紋のみに対して、色留袖は五つ紋以外にも、三つ紋、一つ紋とあり、この2種類の色留袖は、第一礼装ではなく準礼装として用いられます。
ちなみに、三つ紋は背紋が1つと袖紋が2つ入った着物、一つ紋とは背紋が1つのみ入った着物のことです。
 
また、着れる人も黒留袖とは変わってきます!
黒留袖が既婚の女性のみだったのに対して、色留袖は既婚・未婚に関わらず着ることができます。
現代は晩婚も増えており、年齢を重ねた未婚の女性が、振袖より色留袖という選択も出来るようになっているということですね。
かくいう私も、30代後半で未婚なので、第一礼装が必要な場面では、色留袖かな〜と思っております^^
 
ただ、宮中では、黒は喪の色とされているため黒留袖は用いられず色留袖が着られています。
皇族の方が留袖をお召しの場合や、一般の方でも叙勲などで宮中に参内する場合は、色留袖を着用するのが慣例になっています。
平成天皇のご長女黒田清子さんの婚儀の際、先の皇后陛下は黒留袖をお召しになりたかったそうですが、宮内庁が強硬に反対した様で結局色留袖となったそうです。
 
ちなみに、「宮中では古来より黒が喪の色」という話については、次の喪服のパートでがっつり触れますが、歴史の面白さを感じて頂けると思います♪
 
 

黒喪服

 
黒喪服は喪主などが着用する、弔事の際の第一礼装です。
通常、黒一色で、五つ紋の入ったものが正式な黒喪服とされています。
黒紋付(くろもんつき)とも呼ばれます。
 
さてさて、今「通常」と書きましたが、皆様は喪服に白があるのをご存知でしょうか?
明治時代を描いた、NHKの連続テレビ小説『わろてんか』では、第4週放送で母・しずが主人公のてんに「白い喪服」シーンがありますし、実際に着用もしています。
(『わろてんか』より)
  
この白の喪服は、一生一人の男性と添い遂げる(「 貞女二夫にまみえず」)という心の証を表すものとされ、戦前の日本、特に商家などでは、夫に先立たれた妻が葬儀の席で白い喪服を着るというしきたりがありました。
白い喪服を着る事が「夫だけを愛し、再婚しません!」という宣言だったという訳ですね。
 
また、現代でも、2012年の歌舞伎俳優の中村勘三郎さんの本葬に際して、奥様の好江さんが白の喪服を着用されたのは話題になりました。
白の喪服の意味を知っていると、じーんときますよね^^
 
 
ただですね、そもそもですが、日本の喪服の歴史は“黒”より“白“の方が長いのです!
黒留袖がフォーマルになった理由と同じで、明治になり、欧米の喪の色が黒という文化を取り入れ、喪の色が“黒”に変わったと言われています。
 
・・・と書きつつ、喪服に関してはそこまでシンプルではなく、歴史の中で多少紆余曲折しているのでご紹介しますね。
 
藤原京の時代、大宝律令が制定され(701年)、その補完で養老律令ができたのですが、その中で「第26 喪葬令 2条 服錫紵 」として、葬儀の衣装が定められています。
 
天皇は(一般人のように服喪をしないので)、本服(=本来なら喪に服すべき)2等以上の親の喪のためには、錫紵〔しゃくじょ〕(=薄墨色の麻の細布衣)を(3日)着用される。3等以下(の親)及び諸臣の喪のためには、帛衣〔びゃくえ〕(白い練絹衣)を除き、雑多な色を用いられる。
(現代語訳「養老令」全三十編:)
 
 
天皇は、「 錫紵」という薄墨色の麻の細布衣を喪服として着用すると制定されたのです。
ちなみにこれは、中国の皇帝が、錫衰(しゃくさい)というものを着ていたことに由来します。
と、ここがおもしろポイントなのですが、中国でいう「 」とは、灰汁処理をした目の細かい麻布のことで、白い布のことをさしていました。(中国では 今でも喪服は白です。
ところが、日本はこれを金属の錫(すず)と勘違いして、喪服の色は薄墨色となってしまったのです。
勘違いから喪服の色が黒になったというのもすごい話ですが、歴史を紐解くと結構こういうことは起きてたりします。
 
この時から、宮中の喪服の色は黒となり、一般の人が黒色の衣装で参内することが禁じられました。
そして、貴族の間でも、喪服=黒というしきたりは、平安時代後期に突入する頃には定着していました。
当時草木染めで黒色を出していたので、なかなか漆黒の黒は難しく、漆黒に近づくほど高貴な色とされていたようです。
 
そこから、200年ほど経った室町時代に入ると状況が変わり、再び白の喪服がスタンダードになりました。
これは、貴族の影響力がなくなってきた室町時代に入ったことで、もともと白い布を喪服に使っていた庶民の伝統が再び表に出てきたからと言われています。
先にお伝えした通り黒染めは難しく、貴族の「喪服=黒」は庶民まで浸透せず、庶民はずっと白い喪服だったのです。
室町時代をもって、一旦黒の喪服は宮中以外では終わりを告げました。
 
そして、先に触れた明治の文明開化により、政府は皇室の喪服を正式に黒と規定しました。
そこから、庶民にまで喪服=黒が浸透して行ったのですが、この浸透には結構時間がかかり、明治維新から70年ほどが経った第二次世界大戦の時に、戦死者を送る葬儀の急増により、喪服の使用頻度が上昇し、貸衣装店が汚れの目立たない黒に統一したことで、黒の喪服が普及したとも言われています。
今度は、貸衣装店の効率化によって、黒がスタンダードとなったのです。
(ありがたさがない話ですよね^^;)
 
ちょっと長くなりましたが、今黒喪服が第一礼装になった歴史をご紹介しました!
 
 

まとめ

今回は、  正装・フォーマルな礼装の着物の見分け方について、お伝えしてきました。
もうちょっとシンプルにご紹介し、全種類の着物を1つのコラムにまとめるつもりが、事務的な情報だけでなく、その着物のストーリーも一緒にお伝えしたいという想いから、各々説明文が長くなってしまいました^^;
本当の着物美人は着物や周りの方にリスペクトを持ち、価値を最大化出来る女性ですので、上の知識はぜひ持っておいて欲しいことです。
表面的なことだけでなく、ぜひ深いところも好きになって着物との楽しい時間をお過ごし下さい^^
 
次回は、1つ格が下がる「略礼装着・準礼装の着物の見分け方」についてご紹介していきます。
どうぞお楽しみに♪
 
 

この投稿をシェアする


コメントを残す

コメントは承認され次第、表示されます。