
古来から伝わる着物の柄の意味 ー生き物の文様ー
このコラムでは、日本に古来から伝わる着物の柄の意味について解説していきます。
前回の「植物の文様」に引き続き、第二弾の今回は「生き物の文様」についてまとめていきます。
「植物の文様」についてはこちら→『古来から伝わる着物の柄の意味 ー植物の文様ー』
Contents
生き物の文様の意味
【兎 ーうさぎー】
(『リサイクル着物かないや』HP引用)
文様の意味:飛躍、子孫繁栄
うさぎは飛び跳ねることから、飛躍や向上をあらわすといわれています。
また、うさぎは妊娠中に次の子を身ごもることができる繁殖能力の高い生き物で多産なことから、子孫繁栄に縁起がいいとされています。
【鴛鴦 ーおしどりー】
(『着物さくさく』引用)
文様の意味:夫婦和合、夫婦の変わらぬ愛
鴛鴦は、仲の良い夫婦を「おしどり夫婦」というように、変わらぬ愛情を象徴しています。
いつも寄り添っていることから、男女の良好なパートナーシップの願いを叶える文様です。
【亀 ーかめー】
(『 やゝ游風』引用)
文様の意味:不老長寿
「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、鶴とともに福や長寿をあらわしています。
【雉 ーきじー】
(『からん』HP引用)
文様の意味:豊作、子孫繁栄
雉は国鳥にも指定されています。
雌は母性愛と繁殖力が強い事から、豊作や子孫繁栄の象徴とされています。
【九頭馬文 ーきゅうとうまもんー】
(『とこと屋』HP引用)
文様の意味:心願成就
左馬(左に向いて走る馬)は、馬の字を逆向きに書くと「まう」と読むことから、祝いの席の舞と通じ縁起がよいとされてきました。
九頭の馬が駆けていく姿は、「馬九行駆」と書いて「うまくいく」と読めることから、物事がうまくいくことをあらわします。
江戸時代から、勝負運、金運、出世運、家庭運、愛情運、健康運、商売繁盛、豊漁豊作、受験合格の9つの運をアップさせるといわれています。
【金魚 ーきんぎょー】
(『きものさらさ』HP引用)
文様の意味:金運上昇、多産祈願、富貴繁栄
中国語では金魚を「チンユイ」と発音します。
これは、中国語の「金余」(お金が余る)と発音が同じということで、金運上昇のご利益があるといわれています。
また、たくさんの卵を産むことから、多産祈願につながる縁起の良い魚とされています。
庶民には手の届かない高級魚だったこともあり、富貴繁栄の縁起がこめられています。
【孔雀 ーくじゃくー】
文様の意味:邪気祓い
孔雀は、その可憐な見た目とは裏腹に、口に入る大きさであれば植物、昆虫、小動物、更にはサソリや毒蛇など、なんでも食べることから、悪霊を食べ、邪気を払う存在とされてきました。
また、可憐な立ち姿、光沢と鮮やかさを持つ羽、優雅で長く垂れた長い尾羽などの美しさが縁起がよいといわれてきました。
【鯉 ーこいー】
(『きもの見本市』HP引用)
文様の意味:飛躍
龍門といわれる急流の滝を昇った鯉は滝になるという言い伝えから、吉祥紋として珍重されています。
【蝙蝠 ーこうもりー】
(『大羊居』HP引用)
文様の意味:不老長寿、幸福
中国では「蝙蝠」の漢字の「蝠」が「福」に通じることから、幸福の象徴とされています。また、鼠が100年生きると蝙蝠になるという言い伝えから、長寿のシンボルとされていました。
日本でも江戸時代まで蝙蝠は縁起の良い鳥とされ、着物に描かれました。
「幸盛り」「幸守り」の当て字が付けられ、幸福の象徴とされています。
【獅子 ーししー】
(『シンエイ』HP引用)
文様の意味:魔除け
高麗から伝来したとされるライオンに似た想像上の動物。
太陽の力を宿している霊獣として魔除けの意味があります。
【雀 ーすずめー】
(『SANCHI』HP引用)
文様の意味:一族繁栄、五穀豊穣、家内安全
雀は昔から「吉鳥」と言われ、縁起のいい鳥とされています。
群れて生息することが多いので、一族繁栄の象徴といわれています。「厄をついばむ」とされ、家内安全や、ふっくらとした丸っこい形から豊かさをあらわす縁起物ともされています。
【千鳥 ーちどりー】
(『きもの婦久や』HP引用)
文様の意味:夫婦円満
千鳥は、古くから歌にも詠まれていました。
基本的には単体ではなく、千鳥2羽と波間を描き「一緒に世間の荒波を乗り越えて行きましょう」という夫婦円満の意味があります。
【蝶 ーちょうー】
文様の意味:不老不死、美
なぎから美しい蝶へと生まれ変わることから、日本では再生・不老不死の象徴とされてきました。
「蝶」の音が「長」と同じことから、長寿をあらわす。
見た目の悪い幼虫から美しい蝶へ成長することから、女性の美を叶える文様といわれています。
【鶴 ーつるー】
(『リサイクル着物 かない』HP引用)
文様の意味:子孫繁栄、夫婦円満、不老不死
古くは「タヅ」と呼ばれ、遠くまで響く鳴き声が天まで届いているようだと、「天地を結ぶ存在」、「神鳥」とされていました。
鶴は子どもを意味し、子孫繁栄を願って描かれてきました。
また、「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、亀とともに福や長寿を意味し、おもに慶事の衣装に使われています。
2羽の鶴、つまりは夫婦鶴として描かれた時は、夫婦鶴が離れることなく、ヒナの旅立ちまで連れ添うことから、夫婦の末長い幸せの象徴とされています。
【蜻蛉 ーとんぼー】
(『灯屋』HP引用)
文様の意味:武運長久、無病息災
前へ前へと飛び、決して後ろに下がらないことから、勝負強さを呼ぶ虫、「勝ち虫」といわれています。
蜻蛉は、縁起のよい虫として、武運長久、無病息災などのご利益があるとされています。
【梟 ーふくろうー】
(『ロマン着物みやがわ』HP引用)
文様の意味:苦労しない、長寿
梟は、「森の物知り博士」「森の哲学者」ともいわれる鳥。
当て字で、「不苦労」(苦労がない)、「不苦老」(長寿)、「福来郎」(福が来る)、「福籠」(福がこもる)、「福老」(豊かに年をとる)とされることから、吉祥文様とされています。
【鳳凰 ーほうおうー】
(『エスタシオン・デ・神戸』HP引用)
文様の意味:開運招福
鳳凰は、前部が麟(きりん)、後部が鹿、首は蛇、背は亀、あごは燕、口ばしは鶏、尾は魚の容姿をした、空想上の鳥。
鳥の王であり、世の中に良いことが起こる時にあらわれるという伝説の鳥です。
また、名君が出て世の中が天下太平の時に登場すると言われており、「平和の象徴」として、飛鳥時代より広く好まれ描かれてきた文様です。
生き物の意味は、以上です♪
次回は、「古典的な文様」の意味についてまとめますね!
どうぞお楽しみに!!