
古来から伝わる着物の柄の意味 ー植物の文様ー
このコラムでは、日本に古来から伝わる着物の柄の意味について解説していきます。
着物柄は、数多く存在し、コラムでは100種類ほどをご紹介していきますね!
第一弾の今回は、その中でも「植物の文様」についてまとめていきます。
Contents
古来日本人が文様に込めた想い
着物には様々な文様が描かれています。
お好みの文様を選ばれるのもいいですが、古来日本人が文様に込めた想いも参考にされると、より着物を楽しめ、周りの方も楽しませることができます♪
例えば、「鶴」や「亀」は長寿であることから、鶴や亀の文様には、長寿の願いが込められています。また、縁起がいいとされる「松竹梅」は、松と竹は冬でも緑を保ち、梅はまだ寒い中でも花を咲かすことから、つらく厳しい時も腐らず、まっすぐに生きて、華を咲かせる(心願成就)の願いが込められています。
詳しくは、下記にそれぞれの文様の意味をご紹介しているので、そちらをご参考下さい。
まずは、文様の名称と写真、太字の文様の意味だけざっとご覧になり、ピンときたものを読み込まれるのがよいかもしれません。
もしくは、お手元にあるお着物の文様にはどんな意味が込められているのか探されてもよいでしょう。
植物の文様の意味
【葵 ーあおいー】
文様の意味:縁結び、出世
「あおい」は太陽を仰ぐことを意味し、幸先の良さをあらわす植物とされていました。
また、茎が長く伸びて葉をつけることから「発展」も意味しています。
そこから、縁結びや出世の願いを込めて描かれた文様です。
【紫陽花 ーあじさいー】
(『きもの見本市』HP参照)
文様意味:愛情運アップ、金運アップ
紫陽花は、その花の形が蜂の巣に似ていることから、蜜を集めるとして金運アップのご利益があるとされてきました。
また、梅雨の長雨の時期でも耐え忍び美しい花を咲かせること、藍色の花が集まって咲くことから、藍が愛に通じるとして、辛抱ず良い愛情をあらわすともいわれています。
【梅 ーうめー】
(『hataori』HP引用)
文様の意味:安産祈願、心願成就
梅は、厳寒の中でどの花よりも先駆けて咲くさまから、逆境に耐える力を与えるとされる文様です。
また、梅=「産め」という掛詞から、伴侶を迎え、子孫繁栄を願う結婚の儀式で花嫁が着る打掛にも描かれています。
【柏 ーかしわー】
(『ラクマ』HP引用)
文様の意味:商売繁盛、子孫繁栄
柏は新芽が出てから古い葉が落ちることから、「葉守りの神が宿る神聖な木」とされてきました。
そこから、子孫繁栄、途切れることのない繁栄をあらわす文様です。
【桔梗 ーききょうー】
(『『リサイクル着物かないや』HP引用)
文様の意味:勝負運
桔梗の文様は五芒星を表しています。
五芒星は、魔を祓う強い力があるとされています。
【菊 ーきくー】
文様の意味:不老長寿、無病息災、心身の充実
菊の花は刺身のツマに添えられるように強い除菌作用があったり、炎症を抑える作用があるとして漢方薬に使われています。
また、その鮮やかな色や、中心から放射線状に丸く広がる形から、太陽になぞらえ、数ある花の中でも最上位とされていました。
そのような理由から、総じて菊は、不老不死、延命長寿、無病息災、邪気払いの意味があり、そこから精神・気力の充実、安定、気高さ、落ち着きと、心身の充実をあらわす文様とされてきました。
【桜 ーさくらー】
文様の意味:五穀豊穣、富貴繁栄
桜は、「さ」は稲または田んぼの神様を意味し、「くら」は「神様が宿るところ」という意味があることから、田んぼの神様が山から里に下りてきて一旦留まる木とされてきました。
そこから、五穀豊穣、富喜繁栄を願いが込められています。
【笹 ーささー】
文様の意味:立身出世
熊手と同じく、大きな手のひらの形をしているので、幸運をかき集める象徴とされてきました。
また、常に青々とした葉をつけていることから、生命力の強さをあらわす柄として愛されてきました。
【笹蔓 ーささずるー】
(『丸太や』HP引用)
文様の意味:開運招福
笹蔓文様とは、笹の葉に楕円形の幾何学文と、小花を規則正しく織り出した文様です。
数百年に1度花を咲かせるという竹の花をあらわすことから「吉兆」、つまり、良いことが起こる兆しと言われています。
小花の花弁の数が5枚のものや6枚のものがあり、6枚になると梅をあらわします。松竹梅の縁起のよさが加わります。
【羊歯 ーしだー】
(『 円窓乃や』HP引用)
文様の意味:長寿、繁栄
シダ植物の総称。
花も種子もなく増殖するのが不思議がられ、古代ローマ時代から魔法の草とみなされていました。
日本でもその特徴から、長寿や繁栄の植物とされてきました。
【芍薬 ーしゃくやくー】
(『京美』HP引用)
文様の意味:幸福
芍薬は、漢方薬としても使われる花。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉があるように、美しい人の象徴とされています。
【松竹梅 ーしょうちくばいー】
文様の意味:心願成就
極寒でも緑を絶やさず、寿命が長いことから「神の宿る木」と言われる「松」、松同様、冬でも緑を絶やさず、雪にも負けずまっすぐと伸びる「竹」、そして冬の寒さからいち早く花を咲かせる「梅」が合わさった文様。
これら3つは、「三寒三友(さいかんのさんゆう)」と言われ、つらく厳しい時も腐らず、まっすぐに生きて、華を咲かせるという意味が込められています。
【菖蒲 ーしょうぶー】
(『リサイクル着物かないや』HP引用)
文様の意味:勝負雲アップ
菖蒲の音が「勝負」に通じるために、勝負運がつくとされる文様。菖蒲には解毒作用があるため、魔除けの力もあるとされています。
【水仙 ーすいせんー】
(『さわらび』HP引用)
文様の意味:必勝祈願
水仙は、雪の中でも咲くぐらい、厳しい寒さの中に美しい花を咲かせることから、逆境をはね返す力を与える文様とされています。
立身出世の縁起物でもあります。
【竹 ーたけー】
文様の意味:心身硬固
1年中季節を選ぶことなく、みずみずしい緑色を保ち、根を強く張って伸びる竹は神聖なものとされ、お正月の門松など神事に用いられてきました。
【橘 ーたちばなー】
(『きものおおぎや』HP引用)
文様の意味:長寿、子孫繁栄
古来日本において「橘」はみかんを指します。
『古事記』では、不老不死の理想郷、常世の国に自生する植物として書かれていることから、「長寿」や「子どもを授かる」植物とされました。
お正月の鏡餅の上にみかんが乗せられているのもそのためです。
【椿 ーつばきー】
(『kimono rental.jp』引用)
文様の意味:厄除け
椿は、冬にでも常緑で日陰でも花を咲かせます。
古来より神事に欠かせない魔除けの力を持った木とされ、厄除けの意味を持った文様です。
【鉄線 ーてっせんー】
(『バイク呉服屋の忙しい日々』引用)
文様の意味:恋愛成就、夫婦円満
鉄線とは、洋名クレマチス。
しっかりとした蔓が鉄の針金を思わせることから、鉄線と名がついた花です。
蔦が縁を結ぶとして、恋愛成就や夫婦円満などをあらわします。
末長く固い絆を結ぶ願いをこめて、花嫁衣装によく描かれている文様です。
【南天 ーなんてんー】
(『浴衣結』引用)
文様の意味:難転
咳止めの薬としても使われる赤い実の植物。
「難(なん)を転(てん)じて福となす」の意味に引っ掛けたおめでたい文様として使われています。
【薔薇 ーばらー】
(『ICHIKURA』HP引用)
文様の意味:平穏無事
薔薇の花は、四季を通して咲くことから「長春花」と呼ばれ、1年中穏やかな春が続くことをあらわす文様です。
また、その香りや姿、形から、愛と美の象徴として親しまれ描かれてきました。
薔薇は、花弁の色ごとに異なる花言葉をもっており、それをそのまま吉祥文様の由来として親しまれています。
桃色・・・上品さ、青色・・・奇跡、夢叶う(元々ない色だったため)、白色・・・清純、黄色・・・友情
【藤 ーふじー】
(『じざいや』HP引用)
文様の意味:五穀豊穣、子孫繁栄
藤の花は、古くから日本に自生していました。
華麗な房状の花が稲穂に似ていることから、豊作を願う花として描かれてきました。
しだれ藤のさまから子孫繁栄の意味もあります。
【牡丹 ーぼたんー】
文様の意味:富貴繁栄、不老長寿
牡丹は、美しく大きな花を毎年咲かせることから、美しい女性の象徴とされ、数ある様々な花の中でも美しい「百花の王」、豊年の兆しとなるめでたい花「瑞花」として、幸福や富貴の象徴とされていました。
また、牡丹の「丹」は不老・不死の仙薬を意味することから、不老不死、不老長寿という意味も持っています。
【松 ーまつー】
文様の意味:強い生命力、縁結び
松は、1年中緑色の葉をつけることから長寿のシンボルとされ、強い生命力をあらわしています。
また、松葉は必ず二本でひとつなので、縁結び、夫婦和合の意味も込められています。
【万寿菊 ーまんじゅきくー】
(『着物美人』HP引用)
文様の意味:不老長寿、良縁
万寿菊とは、上記の画像のように、菊の花をお饅頭のような丸い形に表現した文様です。
寿命の長久を祝って「万寿」という字をあて、万寿菊と言われています。
無限、良縁をあらわす丸を用いて、極力シンプルに菊を描いたのも特徴。
【紅葉 ーもみじー】
文様の意味:勝負運アップ、立身出世
春を代表する桜と並んで、秋を代表する柄として古くから使われてきた文様。
とさかの形に似ていることから勝負運アップ、立身出世をあらわすと言われてきます。
また、紅葉を見ることで、夏の暑さに疲れた体をリフレッシュすることから、体力・エネルギー回復の縁起物でもあります。
植物の意味は、以上です♪
次回は、「動物の文様」の意味ついてまとめますね!
楽しみにしていて下さい^^